現代のインプラントが発明されたきっかけ

今でこそ安全性も高まり手術の失敗も少なくなったインプラントですが、この技術が開発されるまでは様々な苦労がありました。第二次世界大戦後あたりに研究熱が高まり、研究者の間で金など貴金属を使ったインプラントが試作されるようになりました。金や白金などの貴金属やコバルト、クロムなどの合金、一時日本でも話題を呼んだセラミックに至るまで様々な材料が試されましたが、いずれも歯にしっくりとくる満足できるものでは無かったのです。それが1952年のこと、当時スウェーデンの整形外科医であった大学教授が、骨の成長の基礎研究の実験でウサギの膝の骨に計測のためにチタンのネジを植え込んでいたところ、偶然にもチタンと骨が完全に結合することを発見したのです。

これが元となり人間の体でも拒否反応を起こすことなく骨とチタンが半永久的に結合するという事がわかりました。チタンは強度や耐腐食性、加工性いずれも非常に優れた金属であり、まさにインプラントに最適の材料でした。その後欧米先進国の大学病院が積極的にこのチタンで出来たインプラント治療を取り入れていきました。ちなみにこの基礎研究があってチタンが骨としっかり結合するのに要する期間もわかることができました。

下顎は三ヶ月、上顎は六ヶ月を要すると言われており、現在の治療の基盤となっています。日本でこの治療を初めて導入したのは1983年のことでした。歯科大学の教授がスウェーデンにわたり三年間技術を学び、技術を習得して帰国したあと広めたのが今のインプラント治療に繋がっているのです。

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